腰椎分離症について

腰椎分離症

そもそも分離症とは?

院長の岡田です。東京で学んだことをお話しますね!!
分離症というのは骨折です。
正確には、上関節突起(じょうかんせつとっき)と下関節突起(かかんせつとっき)の間の疲労骨折です。
主に、腰椎の4番5番あたりで発生しやすいのが特徴です。
スポーツでは、野球、ゴルフ、バレーボール、バスケットボール、サッカー、柔道、テニス、ラグビーなど、特に腰をひねる動作(バットのスイング動作など)、上体を反る動作により多く起こります。
腰のレントゲンでは、特に45度後方から撮る(斜位像:しゃいぞう)ことで骨折部分が確認しやすく、画像では、テリア犬が首輪をしているように見えることから「テリアの首輪」「スコッチテリアの首輪」と表現されています。
CTでは、より骨折の状態を確認しやすいが、被ばくのリスクが考慮されます。
医師から、
「腰椎分離症は、治るまで半年はかかります」
「治らないから痛みと上手く付き合っていきましょう」
と言われることも多々あるように、骨の癒合する確率は10パーセント以下と言われています。
つまり、この“骨折”は、ほとんど治らない(骨が元どおりにくっつかない)とされています。

骨が折れても痛くない!?

しかし、骨が折れたままだと、痛いじゃないか!
それで、大丈夫なのか?
骨がくっつかないのに、どのようにして治ると判断するのか?
分離症はどうなれば治癒なのか?
と、いうような不安が残るでしょう。
大切なのは、その分離症の治療法です。
整形外科の書籍に掲載されている内容、または、実際に病院や整骨院等で行われているのは、下記のとおりです。

実際に病院や整骨院等で行われている治療法

①コルセットによる固定で椎弓の癒合を促す

②薬の服用・ブロック注射

③筋力不足のため、腹筋や背筋の筋肉トレーニングを行う

④低周波等の電気治療

⑤ホットパック

⑥ストレッチ

⑦マッサージ

しかし、これらのことを行っても、痛みが治まらない状態が続く場合は、手術が検討されます。
つまり、分離(骨折)を癒合させる手術です。
ただし、腰椎分離症で手術が必要になる例は全体としては少数で、硬性のコルセットによる固定と、運動を中止して安静することで治療とするケースが大多数です。
また、“分離すべり症”にまで進行している場合は脊椎固定術が検討されます。
ここまでが一般的に知られている分離症の知識です。
インターネットで得られる情報もこのような内容がほとんどでしょう。
しかし、これで、本当に分離症が治るのでしょうか?

びっくり!?分離症の不思議な話

さて、世の中でどれぐらいの人が分離症と同じ状態になっているのか?というお話です。
一流のバレエダンサーは、一般の人に比べて分離症の確率が5倍。
しかし、無症状のことが多く問題になることはない。
青年期の分離症については、骨折と言う事実があったとしても症状がない場合がほとんどである。
高校球児の8割は分離症という研究論文がある。
これは高校球児の8割が分離症の症状で苦しんでいるという訳ではなく、レントゲンを撮ってみても分離症つまり椎弓部分に骨折が認められるが、痛みなどの症状は出ていない。
高校球児で8割と書きましたが、プロ野球選手ならばもっと多いと推測されます。
この様に、たとえ、椎弓部に骨折があったとしても、問題なく体を動かせて、元気にスポーツができるということです。
しかし、これらは、まぎれもない事実です。
そこで、新たな疑問です。
本当に、この骨折は体に影響を与えているのか?
本当に、痛みを伴っているのか?
骨折したままだと、どのぐらい体に影響が出るのか?

骨折についての誤解!

骨折と聞くだけで強い痛みを想像する方が多いと思います。
私は骨折の経験はありませんが、友人が小学校の体育の時間に骨折し、本当に痛そうにしていたのを覚えています。
しかし、骨折で痛みが出る事はありません。
『骨だけが折れていたのであれば!』です。
なぜなら骨には「痛みを感じる神経」がないからです。
詳しく説明いたします。
骨折すると実際には痛みが出ます。
しかし、その痛みは骨折そのものの痛みではなく、腫れた部分、つまり、骨折により傷ついた周りの筋肉や腱、靭帯、膜など、軟部組織からの痛みです。
この軟部組織に「痛みを感じる神経」があり、損傷することで痛みが出ます。
実際、骨膜が分厚くて丈夫な幼少期に骨折しても、あまり痛みを感じることがなく、動かせる場合もあります。
激しいスポーツなど運動することにより、骨は、ミクロレベルでひび割れが起きています。
このひび割れにカルシウムが沈着して、骨を強く丈夫にします。
スポーツなど運動して骨が強くなるとうのは、このような理由からです。
ミクロレベルでの骨のひび割れは、身体を形成していく上で、重要なことなのです。
このように、常にひび割れが起こり、その都度、痛みが走っていては運動することができません。
よって、「骨には痛みを感じる神経がない!」ということを、ご理解いただけると思います。
今のあなたの痛みが「全体的に痛い」「何か重い感じがする」「だるい」などでしたら、骨折による痛みの可能性は非常に少ないでしょう。

脊柱(背骨)について

脊柱(背骨)の事について少しだけお話しします。
脊柱は(背骨は)椎骨と呼ばれる骨がたくさん連なって一本の長い骨になっています。
首から腰まで同じような構造になっていると思われていますが、実はその機能や動きはずいぶん違っています。
頚椎は前後左右に動くような構造になっています。
胸椎も横に倒す動作、体をひねる動作、そして、前後に曲げる動作も行います。
しかし、腰椎に限っては横に倒す。または、腰を回す。さらに、後ろに反る動きは、ほとんどできない構造になっています。
むしろ、この部分は折れている方が、腰の前後屈や回す動作などの柔軟性が増すので、スポーツ選手としてのパフォーマンスは上がります。

当院での分離症の治療法

私はこう考えて治療を行っています
これまでの内容から考察しますと、レントゲンやMRIでは映らない所に、本当の原因があると考えるのが妥当ではないでしょうか?
あなたは分離症と言う診断名を受けて、とても不安な気持ちになられたかもしれません。
治るかどうかわからない痛みを抱え、試合が近づくにつれ焦る気持ちも出てきた方もおられるでしょう。
ですが、これまでの文章をお読みになってどのように感じられたでしょう。
もしかしたら、分離症と今の腰痛は関係ないかもしれない。
この痛みは、もっと何か別のものが原因なのではないだろうか?とお考えになったのではないでしょうか。
分離症と診断されたとしても、今のあなたの痛みはその「分離症の骨折」からではない可能性が非常に高いということになります。
ですから、安心していただいていいでしょう。
では、なぜ痛いのか?
その痛みは、どこから来るのか?
本当の痛みの原因は何なのか?
あなたの痛みの原因は、腰の筋肉にあります。
腰の筋肉が硬くなることによって痛みが発生しているのです。
なぜ腰の筋肉が硬くなることで痛みが発生するかは「腰痛の原因」を参照してください。
つまり、一般的な腰痛となんら変わりないと言うことになります。
では腰痛はどのようにすれば治るのか?
それは、『その硬くなっている腰の筋肉を軟らかくすればいい!』ということです。
とてもとても単純なことです。
また、分離症は、腰椎すべり症に移行しやすいといわれていますが、適切な処置さえすれば問題になることはありません。